重心・医ケア児施設へ転職!看護師経験年数が浅くても大丈夫な理由を3つ解説!

重症心身障害児(者)入所施設や医療的ケア児の看護を行う施設への転職を検討する際、看護師経験年数が浅いと転職に不安がある方もいるかもしれません。

重症心身障害児(者)看護への転職はしっかり看護師経験を積んでからがいいと聞いたことがある

人工呼吸器管理やけいれん時の対応はしたことがないので不安

私は重症心身障害児(者)や医療的ケア児が入所している医療型障害児入所施設で働く看護師です。私は急性期病棟で4年働き、看護師5年目でこの施設に転職しました。転職前は、看護師として急性期病棟で経験を積むことが大切だと思っていました。しかし、実際に転職し働いてみると、もっと早く転職すれば良かったと思い直しました。

その理由は以下の3つになります。

  1. 基本的な看護技術や医療ケアが多い
  2. 経験がない技術は実際に働きながらゆっくり学んでいけば大丈夫
  3. 個別性のある長期的な支援が必要なので看護師経験年数より重症心身障害児(者)や医療的ケア児と実際に関わる時間が大切

ここからはこの3つの理由について詳しく解説します。

基本的な看護技術や医療ケアが多い

重症心身障害児(者)や医療的ケア児は日常生活を送るために医療ケアや看護・介護を必要としています。急性疾患の治療をしているわけではないので、普段は状態も安定しています。そのため、基本的な看護技術や医療ケアがほとんどです。

基本的な医療ケアや看護技術

よく行う医療ケアのうち、基本的な医療ケアや看護技術は主に以下のようなものが挙げられます。これらの技術は病院や高齢者施設等でもよく行うものになるので、不安のある方は少ないと思います。

  • 吸引(口鼻腔・気切内)
  • 吸入(ネブライザー)
  • 経管栄養(経鼻・胃瘻・腸瘻)
  • 酸素投与
  • 与薬・服薬管理
  • 浣腸
  • バイタルサイン測定
  • 食事介助
  • おむつ交換
  • 入浴介助

重症心身障害児(者)や医療的ケア児は日常生活にも介助が必要な場合が多いです。入所施設には介護福祉士さんがいる施設も多く、食事介助や入浴介助などは介護福祉士さんたちと協力して行います。

これなら大丈夫そう!

重症心身障害児(者)や医療的ケア児に特有の医療ケア

基本的なケアが多いとはいえ、重症心身障害児(者)や医療的ケア児に特有の医療ケアもあります。一般の病院では経験することが少なく、重症心身障害児(者)や医療的ケア児に特有の医療ケアとして以下のようなものが挙げられます。

  • 人工呼吸器管理
  • 気管切開の管理
  • てんかん発作時の対応
  • 抗けいれん薬
  • ITB療法の管理

人工呼吸器管理や気管切開の管理は、所属する病棟によってはほどんど経験のない方もいるのではないでしょうか。また、けいれんの対応は一般病棟ではなかなかないので不安に思う方も多いかもしれません。

しかし、経験のない看護技術や医療ケアは実際に働きながらゆっくり学んでいけば大丈夫です!以下でその理由について解説します。

経験がない技術は実際に働きながらゆっくり学んでいけば大丈夫

重症心身障害児(者)や医療的ケア児の看護や医療ケアは病院ではなかなか経験しない技術もありますが、完璧にできるようになってから転職するのではなく、実際に働きながら学んでいけば大丈夫です。

重症心身障害児(者)や医療的ケア児は基本的に状態が安定しており長期的なケアを行うので焦って勉強する必要はない

重症心身障害児(者)や医療的ケア児は日常生活を送る上で看護や医療ケアを必要としています。普段の状態は安定しており、レクやイベントに参加したり学校に登校したりして日々の生活を楽しんでいます。そのため、看護や医療ケアもその子の生活スタイルや障がいの特徴に合わせて行う必要があります。

経験のない看護技術や医療ケアも、重症心身障害児(者)や医療的ケア児と関係性を築きながら、特徴を理解した上で一人ひとりに合わせたケアができるよう学んでいくことが大切です。

急性期病棟のように明日この治療があるから明日までに勉強してきてねというようなことはありません。

経験のない看護技術や医療ケアも、その子のことを理解しながらゆっくり学べば大丈夫です。

医療ケアやけいれん時の対応は医師の指示に従って行う

重症心身障害児(者)や医療的ケア児には主治医がついており、必要な医療ケアやてんかん発作時の対応については主治医からの指示が出ています。看護師は医師の指示に従って医療ケアを行います。

医師の指示は一人ひとりの状態に合わせて出されています。例えば同じてんかん発作時の対応でも使用する薬剤や時間についての指示は一人ひとり違います。はじめは先輩看護師と一緒に対応や医療ケアを行い、一人ひとりの障がい特徴や状態を理解しながら指示内容や対応について学んでいきましょう

医師から指示が出ているなら安心ですね。

事前にどのような指示が出ているのか確認し、落ち着いて対応しましょう。

医師の指示に従って行うケアのうち、重症心身障害児(者)や医療的ケア児に特有のものは以下のようなものが挙げられます。看護師の対応のポイントをまとめました。

てんかん発作時の対応

てんかん発作の頻度や発作時の状態は一人ひとり違います。声を上げるなど一目見て発作だと分かる場合もあれば、硬直する、小さくピクつきがあるなど発作であることが分かりにくい場合もあります。まずは一人ひとりの発作の特徴を知ることが大切です。様子が変だと感じたら先輩看護師を呼んで一緒に観察・対応しましょう。てんかん発作が起きた際は、発作の状態を観察しパルスオキシメーター等で酸素飽和度や脈拍を確認しながら発作の持続時間も測定します。発作の程度や持続時間によって使用する薬剤など主治医から事前に指示が出ている場合が多いので指示に従って対応します。

  • 一人ひとりの発作の特徴を知る
  • 事前にてんかん発作時の対応に関する医師の指示を確認しておく
  • 発作時は安全確保、発作状態の観察、持続時間測定、脈拍・酸素化の確認をしながら医師の指示に従った対応を!

人工呼吸器管理

重症心身障害児(者)や医療的ケア児では様々な要因で呼吸障害を起こしている場合があり、呼吸管理のために人工呼吸器を使用している場合もあります。急性期状態にあるわけではないので状態は安定しています。人工呼吸器の設定を変えることはほとんどありません。日中は人工呼吸器を離脱して過ごす方もいます。日々の呼吸状態を観察をしながら、どのような呼吸障害があるのか、呼吸機能や人工呼吸器の設定等について勉強していきましょう。

  • 呼吸機能や呼吸障害はどんなもの?
  • 人工呼吸器の設定は?

ITB療法

ITB療法とは痙縮を和らげるための治療で、薬剤(バクロフェン)の入ったポンプを腹部に埋め込み髄腔内に持続投与するものです。ポンプ内のバクロフェンが少なくなると注射器で体外から注入します。持続投与の量も体外から機器で調整できます。医師は痙縮の状態をみながらバクロフェンの投与量を細かく調整するので、看護師は日々の痙縮の頻度や痙縮中の状態を観察し医師に伝えます。また、バクロフェンの次回注入日を確認しポンプ内のバクロフェンが切れないように管理します。注入は医師が行うのでその介助を行います。ポンプが埋め込まれている皮膚の状態も日々観察します。

  • 日々の痙縮の頻度や痙縮中の状態を観察する
  • ITBポンプが埋め込まれている部分の皮膚観察
  • バクロフェンの次回注入日を確認
  • バクロフェン注入時の医師の介助

時間にゆとりがあるから先輩看護師さんたちが丁寧に教えてくれる

重症心身障害児(者)や医療的ケア児の入所施設では、一日の仕事の流れが決まっておりルーチンワークが多いので、急性期病棟と比べて時間に余裕を持って働くことができる職場が多いです。

仕事をする上で余裕があるため、先輩看護師も新しい職員へは丁寧に指導してくれます。業務で困ったときなども先輩看護師へ質問しやすいと思います。

急性期病棟ではみんなとても忙しそうで、分からないことがあっても先輩看護師を捕まえるのが大変でした。

実際私が転職したときも、先輩看護師さんたちはびっくりするほど優しく丁寧に指導してくださいました。

これは私の主観ですが、入所している利用者へはやはり愛着がわき、毎日かわいい子のケアをしていると、そこで働く看護師も自然と優しくなるのかなと思います。

日常生活を送る場であるため、急性期病棟のようなピリピリした雰囲気はありません。利用者が楽しい時間を過ごせるような環境づくりをしているので職場の雰囲気も良いところが多いと思います。

個別性のある長期的な支援が必要なので看護師経験年数より重症心身障害児(者)や医療的ケア児と関わる時間が大切

重症心身障害児(者)や医療的ケア児は一人ひとり障がいの種類や程度、必要な医療ケアが違います。障がいや医療ケアがなくなるわけではないので、障がいを抱え必要な医療ケアを受けながら日々の生活を送るために個別性のある長期的な支援が必要になります。

また、体調の不調を自分で訴えることができない方も多いので、日々の関わりや観察の中で小さな変化や訴えを見逃さずケアにつなげることも看護師の重要な役割になります。小さな変化に気づけるようになるためにも、普段の表情や顔色、合図の方法など一人ひとりの特徴を理解することが大切です。

特徴を理解するために、実際に関わってその子のことをよく知ることが大切です。

重症心身障害児(者)や医療的ケア児と実際に関わり、その子の性格や生活スタイル、必要な医療ケアを理解し、長期的な視野を持って個別性のある看護を提供していくことが大切です。看護師経験年数そのものより、重症心身障害児(者)や医療的ケア児と実際に関わってきた時間が大切だと思います。

まとめ

重症心身障害児(者)や医療的ケア児と関わる職場へ転職する際、看護師経験年数が浅くても大丈夫な理由を解説しました。まとめると次にようになります。

  1. 基本的な看護技術や医療ケアが多い
  2. 経験がない技術は実際に働きながらゆっくり学んでいけば大丈夫
  3. 個別性のある長期的な支援が必要なので看護師経験年数より重症心身障害児(者)や医療的ケア児と実際に関わる時間が大切

基本的な看護技術が多く、分からないことがあっても時間にゆとりをもって働ける環境なので、実際に働きながら学んでいけば大丈夫です。

重症心身障害児(者)や医療的ケア児と関わる中で学ぶことも多くあり、一人ひとりの特徴を理解した上で個別性のある看護を提供することが大切です。早めに転職することで、重症心身障害児(者)や医療的ケア児とより長く関わることができます。

小学生だった子が成人式を迎えるなど成長を見届けるのも楽しいですよ。

個人的には看護師2~3年目でも全然大丈夫だと思います!私が働く病棟は40代~50代のベテランナースさんが多いですが、最近は若手の看護師で転職してくる方も増えています。

子どもが好き、個別性のある長期的な支援がしたい、時間にゆとりを持って働きたいという方はぜひ重症心身障害児(者)や医療的ケア児の看護に携わってみてはいかがでしょうか。

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