大学や専門学校で看護師資格を取り、新卒で当たり前のように大きな病院の急性期病棟へ就職し働き続けている人は多いと思います。ですが、その中には「今の病棟は忙しすぎてムリ」とか「看護師向いていないな」と感じている人もいるのではないでしょうか。
そんな、急性期病棟で働くことが辛いと感じている看護師さんは早めに今の職場を退職し、転職することをお勧めします。その理由は次の3つになります。
- 看護師として働くこと自体がイヤになる前に働く環境を変えた方がいい
- 早く転職した方が転職後の給料やキャリア形成において有利になる
- 仕事のせいで心身の不調を来たしてしまっては働く意味がない
この記事では、この3つの理由について詳しく解説します。
私も新卒で急性期病棟に就職しましたが、忙しすぎて看護師を辞めたいと思っていました。しかし、医療型障害児入所施設へ転職し、今では看護師として仕事の楽しみややりがいを感じながら働くことができています。
辛かった時に、限界まで頑張らずに転職の決断ができて良かったと思います。
この記事を読んで、一人でも多くの看護師さんが辛い病棟から抜け出し、自分に合った職場に出会えることを願っています。
看護師として働くこと自体がイヤになる前に環境を変えた方がいい
合わない環境で長期間働くと看護師事体イヤになる
病棟勤務が忙しすぎて、毎日が職場と家の往復だけになっていませんか。
ただ毎日の仕事をこなすだけで精一杯です。休日も仕事の疲れが取れずに全然遊べないし食事や家事も疎かになってしまいます。
今は気力で頑張れているかもしれません。しかし、合わない職場でずっと働いていると、自分は看護師に向いていないのではないか、もう看護師の仕事はやりたくないなどの思いが強くなり、看護師として働くこと自体がイヤになってきてしまいます。
私、やっぱり看護師向いてない。何も考えずにできる単純作業がしたい。
看護師の職場は病棟だけじゃない
病棟勤務が合わなかっただけ
大学や専門学校卒業後は多くの人が当たり前のように大きな病院に就職し病棟勤務を経験します。確かに大きな病院の方が新人教育がしっかりしていることが多いし、いろいろな経験が積めます。
しかし、その環境があなたに合っているかは別問題です。看護師として働ける職場はたくさんあるのに病棟勤務の経験だけで看護師が合わないと結論付けてしまうのは早すぎます。あなたにとって、たまたま病棟勤務が合わなかっただけかもしれません。
施設、訪問看護、クリニック…看護師の職場はたくさんある
看護師として働ける職場は病棟だけではありません。クリニックや訪問看護、老人保健施設、保育園、役場、企業など多岐にわたります。
例えば、施設はルーチンワークが多いので比較的ゆっくり働けます。訪問看護は自分のペースで働くことができ給料の高い職場も多いです。保育園は子供と触れ合える楽しさがあります。
看護師の働き方も多様になってきており、職場によって仕事内容や働き方が異なります。自分が楽しいと感じる仕事は何か、逆に何をしたくないかなど考えながら自分に合った職場を探してみましょう。
食事介助とかは楽しいから生活をサポートする系の施設がいいかな。忙しすぎて仕事に追われるのは嫌だから自分のペースで働ける職場がいいな。
もう夜勤はしたくないから夜勤のない職場を探そう。
私も急性期病棟で働いていた時、仕事が辛くて自分は看護師向いていないと思っていました。転職したところで看護師として働いていけるのか不安でした。しかし実際に転職してみると、時間に追われず仕事ができ残業もほとんどない環境となったことで、看護師自体を辞めたいという思いはなくなり、現在も看護師として働き続けることができています。
看護師自体がイヤになって辞めてしまう前に、自分に合った看護師としての職場を探してみましょう。
辛い病棟勤務に耐えられたなら大抵の職場で働ける
看護師としての転職を考える際、病棟でしか働いたことがないために、他の仕事ができるのか不安に思うことがあるかもしれません。
今まで病棟看護師しかやったことないから、施設とかクリニックとかに転職しても、ちゃんと働けるか不安です。
病棟勤務で多くを学び、体力や忍耐力も付いている
病棟経験しかないからと不安に思う必要はありません。
あなたは多忙で知識も技術も必要とされる急性期病棟で働くことができています。この経験はアセスメント力や判断力、多重課題への対応力などあなたが思っている以上に多くを学んでいますし、きつい勤務をこなしてきた結果、体力や忍耐力もついています。
職場や仕事内容が変わっても今までの知識や経験が活かせるでしょうし、新人時代に分からないことを調べたり勉強したりしてきた経験により初めてのことへの対応力もついています。急性期病棟を耐え抜いたあなたは次の職場でもやっていけるはずです。自信を持ってください。
せっかく看護師資格を取ったのに辞めてしまうなんてもったいない
せっかく大学4年間または専門学校3年間かけて看護師資格を取ったのに、看護師事体を辞めてしまうのはもったいない。限界まで働き続けて看護師を辞めたくなる前に自分に合った職場を探してみましょう。自分に合った職場で働くと看護師も悪くないと思えるはずです。
仕事が充実するとプライベートの時間も増えてQOLも上がります。
早く転職した方が転職後の給料やキャリア形成において有利になる
好きな分野でのキャリア形成ができる
あなたは今働いている診療科や分野に興味がありますか?専門性を極めたいと思いますか?
同じ科で長く働くとその分野での経験年数を積むことができます。特定の分野での経験年数が上がれば、その分野の専門看護師や認定看護師等の資格取得や大学院への進学ができたりします。
専門看護師や認定看護師は聞いたことあるけど、自分が取ることは考えたことなかった。
毎日辛い思いをして働いている今は興味ないかもしれませんが、転職して新しい分野に挑戦し、自分に合った分野が見つかると専門性を極めたくなることがあるかもしれません。
その際には、長くその分野での経験がある方が有利になりますし、資格取得のためには特定の科で数年の臨床経験が必要な場合もあります。そのため、キャリア形成においては、できるだけ早く転職しその分野での経験年数を増やしていく方が有利になります。
でも、毎日仕事に追われてそんなこと考える余裕はないし、専門性を極めるなんて高い志は持てません。
今は興味のある分野なんてない、やりたい看護なんてないと思うかもしれませんが、看護学生時代に楽しかった実習や科目もあったはずです。転職して労働環境が良くなれば自分に余裕もできます。好きな分野で働いて自分に余裕ができたら、やりがいも感じられるし仕事も楽しくなり充実感が増します。そう思えるようになれば、自然と看護師として上を目指したいという思いが芽生えたりします。
せっかくならやりがいや充実感を感じながら仕事したいですよね!自分の好きな分野は何か考えながら転職先を探してみましょう。
無気力に働くだけの病棟は辞めて、自分の好きな分野に挑戦したら、やりたいことが見つかるかも。
自分に余裕がないと目標も持てなくなってしまいます。まずは転職して余裕を持って働ける環境に身を置くことがが大切です。
私も以前は研修なんて行きたくなかったし専門性を極めたいと思ったこともありませんでしたが。しかし、医療型障害児入所施設に転職し、重症心身障害児や医療的ケア児の支援についてもっと知りたいと思うようになり、参考書を読んだり地域の支援体制について自分で調べたりするようになりました。自分でも仕事に関するやる気が出ていることに驚いています。
給料や退職金は長く務めるほど上がる
やはり、どこの職場でも正社員になり勤続年数が長いほど基本給は上がっていくし、退職金の額も増加します。
それなら、今辛い思いをして働いている職場で基本給や退職金の額を上げていくより、長く勤めたいと思える職場で基本給や退職金の額を上げていった方がいいと思いませんか。
今は頑張って仕事を続けることができていても、無理して働き続けると、いつか限界が来て結局辞めてしまうかもしれません。
10年後、20年後もこの職場で働き続けている未来は見えますか。
中途半端に辞めてしまうと、今の職場も転職先も勤続年数が半端になり退職金の額も上がらなくなってしまいます。
今の職場で10年後も働くなんて考えられません。
長く働くほど給料や退職金が上がるなら、早めに転職した方が効率いいかも。
給料の面からみても、長く働けない職場は早めに退職し、長く続けられそうな職場に転職することで勤続年数を積み上げていくのが良いと思います。
でも、今の職場の給料が高いからやめられないんだよな。転職したら収入が減りそう…
給料のために辞められないという方は次の項目を読んで考えてみましょう。
自分に合った職場で働けるとQOLが上がる
今の職場の給料が良いからと退職をためらっている方、冷静に考えてみてください。
あなたは一体何のために働いて給料を得ているのでしょうか。
仕事のせいで心身の不調を来たしてしまっては働く意味がない
私は急性期病棟で働いていたときに、毎日きつい病棟勤務をこなし続けた結果、難聴や不眠、メンタルの悪化など心身の不調を来たしてしまい休職や退職に至る同僚看護師を何人か見てきました。
私自身、病棟勤務が辛くて限界が来そうだった時期、休日の度に景色の良い場所へ行きひとりぼーっと過ごしていました。今考えると、それってかなり危なかったのでは…と思います。
治療が必要になると受診や薬の費用がかかる
心身の不調を来たしてしまうと、治療のために病院を受診したり療養のために休職したりする必要があります。そうなると病院受診や薬のために費用がかかりますし、休職中は収入も減少します。
年次有給休暇や病気休暇を利用できると給料の大幅な減少は抑えられますが、利用できる日数に限りがありますし、年次有給休暇を休職のために使いたくないと思う方もいるでしょう。また、傷病手当等を利用する場合は支給まで時間がかかりますし普段の給料の額が満額もらえるわけではありません。
収入は減るのに社会保険料や住民税の支払いは必要
休職すると収入が減るだけではありません。収入は減少しても社会保険料や住民税は支払う必要があるのです。
普段は給料天引きで自動的に支払っていますが、休職期間中は給料をもらわないので自分で支払いに行かなければいけません。給料天引きでは支払額の大きさを意識することは少ないですが、実際に自分で支払うとなると思った以上に大きな出費となり驚くはずです。
何のために給料をもらうの?
受診や休職を繰り返しながらも同じ職場で働き続ける看護師さんもいます。このような状況になってしまうと、もはや何のために働いて収入を得ているのか分からなくなります。
体調を崩した時の病院受診料や薬代のためでしょうか。休職時の生活費や社会保険料、住民税の支払いに備えているのでしょうか。
違いますよね!
人生をより良くするためですよね!もちろん、普段の生活費や将来の貯蓄のためでもありますが、友達と遊んだり旅行に行ったりおいしい食事をとったり。今しかできない経験ややりたいこともたくさんあるはずです。
人生を充実させるためにお金を使いたい!
人生楽しまないと意味がない
不眠やうつ等、心身の不調を来たしてしまっている状態ではやりたいことする体力や気力もありません。仕事のために体調を崩してやりたいことができないなんて人生損していると思いませんか?せっかく一度きりの人生なので自分のやりたいことに時間やお金を使いたいですよね。
仕事に余裕ができると休日も充実する
辛い病棟勤務から抜け出すだけで心がとても軽くなります。
自分に合った環境で無理なく働ける職場に出会えると、休日も体力や気力があって行動範囲が広がり、やりたいことが出来ますし、定時で終わる職場だと平日の仕事終わりも時間があるので、できることが増えます。
その結果、仕事のストレスから解放されるだけでなくプライベートも充実します。プライベートが充実しリフレッシュされると仕事も頑張ろうと思えます。
今はまだ、やりたいことはないかもしれませんが、転職して心と身体に余裕ができたらやりたいことも出てくるはずです。
仕事も大事だけど、もっと自分を大切にしてほしい
自分を犠牲にしてでも日本の医療に貢献したい!という気持ちで頑張っている人もいるかもしれませんが、そうじゃない人の方が多いのではないでしょうか。
毎日辛い思いをしながら、時に体調を崩しながら病棟勤務を続けている看護師さんは多いですが、もっと自分を大切にしてほしいと思います。
夜勤などの交替勤務やトイレに行けないぐらい忙しい環境、仕事による過度なストレスは様々な疾患のリスクを高める要因になりますし、看護師は寿命が短いともいわれています。
毎日患者さんの看護を行い他人の病気や健康のために働いていますが、自分の健康にももっと目を向けてみても良いのではないでしょうか。
健康を犠牲にしてまで得る給料は必要ですか?
急性期病院は、確かに給料は良いかもしれません。でも、その給料は何のために得ているのですか。
仕事のストレス発散のために無駄な買い物をしてしまってはいませんか。暴飲暴食してしまってはいませんか。それではせっかくの給料を無駄にしてしまっています。
資産を増やすために必要なのは高い給料だけではありません。給料が減っても自分の時間が増えると、空いた時間で何か副業を始めることもできるし、お金や節約の勉強をして今より出費を抑えることもできます。給料が減っても副業や投資を始めたり節約により出費が減ることで今より資産を増やすこともできます。
健康を犠牲にしてまで働いて得た給料は無駄な買い物や暴飲暴食、仕事による体調不良の病院代に消えてしまうかもしれませんが、自分に合った職場で健康的に働くことができるとやりたいことのために時間やお金を使うことができます。
私は何のために働いて給料をもらっているんだろう。やりたいことはできているかな?
あなたが今貰っている給料が、自分を犠牲にして働いてまで得る価値のあるものなのか今一度考え直してみてほしいです。
給料は下がっても、元気に働けて休日も自分の好きなことができる方が人生は充実するよね!
給料のために働くより、自分が健康でいられる働き方を選択してほしいと思います。
いつどんなきっかけで病んでしまうか分からない
まだ体調を崩しているわけではないから大丈夫と思っている方も、早めに今の環境を抜け出すことをお勧めします。人はいつどんなきっかけで病むか分かりません。
実際に、私が以前働いていた急性期病棟でも「この人が?」という人があるきっかけでメンタルを病んでしまいました。本人も「自分は大丈夫だと思っていた」と話していました。
このように気付かないうちに疲労やストレスが溜まり、ある日限界を超えてしまうこともあります。一度病んでしまったら復帰するのは大変です。職場を変えたいと思っても、転職活動をする元気もないかもしれません。なので少しでも余裕のある今のうちに自分に合った職場探しだけでも始めておきましょう。
まとめ
急性期病棟で毎日辛い思いをしながら働いている看護師さんが早めに転職した方が良い理由を解説してきました。
- 看護師として働くこと自体がイヤになる前に働く環境を変えた方がいい
- 早く転職した方が転職後の給料やキャリア形成において有利になる
- 仕事のせいで心身の不調を来たしてしまっては働く意味がない
看護師の職場は病棟だけではありません。多様な働き方があります。あなたに合った職場もきっとあるはず!自分は何のために働いているのか一度考え直してみてください。
そして、やっぱり今の職場は合わない、もっと違う働き方がしてみたいと思ったら今の職場にこだわらず転職して一歩踏み出しましょう。ブラックな職場を辞めて、自分に合った職場に転職したことで体調も良くなり休日も充実してQOLが上がった人はたくさんいます。これからは、もっと自分を大切にして仕事もプライベートも充実させましょう。
病棟以外で働けるのか不安に思うかもしれませんが、あんなにきつい病棟勤務に耐えてきたあなたなら、大抵の職場は大丈夫です!自信を持って! 自分が何をしたいのかよく分からないという方は、まずはどんな職場があるのか調べてみましょう。いろいろな求人を見ながら労働条件や給料の比較をして、自分が無理なく働けそうな職場を探してみましょう。
一人でも多くの看護師さんが辛い病棟から抜け出し、自分に合った職場環境で看護師を続けられることを願っています。